Visionary World Cup 2023

開催スケジュール・会場

日程   2023年9月12日(火)~9月13日(水)
会場   望楼青海波 (兵庫県淡路市岩屋1833-4)https://www.bourou-seikaiha.jp/
内容  (1日目)グループごとに交渉コンペティションに向けた講義、大会準備など
    (2日目)交渉コンペティション大会及び表彰式
共催   株式会社パソナグループ

大会の様子

オイシックス・ラ・大地株式会社
法務部 鵜川 孝

 共催のパソナさんのご厚意で、「Visionary World Cup 2023」を見学してまいりました。

 World Cupといえば、8月には沖縄でバスケットボールが劇的にパリオリンピック出場を決め、そして、今まさにフランスではラグビーが一次リーグ突破に向けてあと1勝というところですが、その間隙をぬった9月12、13日に、もう一つのWorld Cupが、淡路島で開かれました。学生が交渉を戦わせる「Visionary World Cup 2023」です。
 未来志向を持った大学生(未来のVisionaryたち)が、九州、関西、そして、東京から計13大学21名が集まりました。GLEAと法人会員であるパソナグループ(以下「パソナさん」)との共催で、会場宿泊食事はパソナさんの淡路島施設が提供されました。

 12月の大学対抗交渉コンペティションとの大きな違いは、大学対抗ではないこと、つまり、他大学の学生とチームを組むことです。結果、遠隔地同士のチームは、リアルで会うのが、現地淡路島が初めてとなります。
 「大丈夫なの?」と最初は思いましたが、さすがいまどきの学生の皆さんです。あっという間に旧知の仲のように話がはずんでいました。ただ、それが、高校大学生活のほとんどを、自宅やオンラインで過ごすことを余儀なくされた皆さんのたくましさなのかもしれないに思い至ると、ちょっと胸が痛むところでもありました。

 野村教授の概説講義の後、早速、リアルでの初めての打ち合わせ、そして、翌日の本番に臨むというスケジュール、短期決戦です。会って初めて分かる相方の考え方や話し方、顔を突き合わせて課題を読み込んで初めて気づく課題、知恵を出し合っての戦術の建て直し、風呂や食事を一緒にしつつ、夜遅くまで検討。ただし禁酒。翌朝も早くから最後の確認、と濃密な時間。ただ、皆さんからあまり悲壮感は見受けられませんでした。むしろ、リアルでの人との過ごし方を楽しんでいるようにも思われました。

 その流れでしょうか。本番の交渉でも、さわやかな印象が残りました。長期間の渾身の準備を経て臨む大学対抗交渉コンペティションでは、だからこそ、最終日結果発表の際に、熱い悲喜こもごものドラマがあり、審査員の私も、毎年、胸を熱くし、自分も初心に帰ろうと影響を受けているところ、今回は、ある意味、短期決戦の潔さを感じた気がしたのです。ある審査員の講評の第一声も「皆さん、交渉を楽しみましたか」でした。

 これには、淡路島というロケーションも影響しているのではないかと思われました。交渉の神様の配剤でしょう、天気にも恵まれ、青い空と海が目の前に広がり、窓の下には静かに打ち寄せる波音、鳥も鳴き、夜は虫の音がうるさいほど。原始の体験に我々の細胞やDNAが喜び、ヒトの本能と思われる共存性に立ち戻りヒトに優しくなる。しかも、ご存知のように淡路島は、古事記の冒頭で語られる国生みの島。そんな自然とパワーが皆さんの人間力になったのではないか、そんな気がしたのです。そういえば、世界の有名な会議・交渉は、景勝地や保養地で開かれています。さもありなん。(そんな淡路島を本社オフィスとするパソナさんは素晴らしく、そしてうらやましく思いました。)

 Visionary World Cupは、大学対抗交渉コンペティションを範として始まりつつ、大学混成チームによる合宿形式の短期決戦という異種発展形での開催となりました。まずは、パソナさんをはじめとする関係者の皆さまのご尽力とその成功に敬意を表したいと思います。そして、 確実に交渉のすそ野が広がっています。大学対抗交渉コンペティションが蒔かれてきた種が育っていることを目撃しました。僭越ではありますが、GLEAの皆さまにも拍手を送りたいです。ありがとうございました

 最後、余談めきますが、本番当日の早朝、日の出の頃の露天風呂で一緒になり、「これから最後の検討なのでお先に失礼します」と先にあがっていった二人組は、数時間後、見事、優勝を勝ち取っていました。World Cupですから世界一ですね。おめでとう!